米政府筋、日本の賛同に批判的見解 「核不使用」共同声明
【ワシントン=青木伸行】国連総会第1委員会(軍縮)の
「核不使用」を訴える共同声明に日本が賛同したことに
ついて、米政府筋は、名指しは避けつつ批判的な見解を示した。
政府筋は「核兵器使用がもたらす深刻な結果を、
十分に理解している」と指摘。その上で「核軍縮に『応急処置』はない。
このような(共同声明の)努力は、イランや北朝鮮のような
核不拡散体制への脅威から焦点をそらせつつ、
核兵器全廃への非現実的な期待を高める」と指摘した。
共同声明は21日に発表された。「核のない世界」を掲げる
オバマ大統領の核政策はその実、「核のある世界」という
現実に重きを置いている。東西冷戦時代の「核の恐怖の均衡」から、
冷戦後は「核拡散の脅威」へと国際環境が大きく変化した中で、
核戦力レベルの低減と核不拡散を追求しつつ、
米国と同盟国の確実な核抑止力を維持するというのが、
政権の基本政策だ。
こうした観点からすれば、声明も日本の賛同も「非現実的」と映り、
「(核不拡散への)着実な取り組みが安定性を増大させ、
核の危険性を低減させる最も効果的な方法」(政府筋)ということになる。
一方、カーネギー平和財団のジェームズ・ショフ研究員は
「日本は『いかなる状況下でも核は使われない』とは言えまい。
北朝鮮の核攻撃に対し、米国が日本に代わり核で報復することは、
政策の選択肢であるからだ」と指摘する。
この問題について、米政府は公式な見解を表明していない。
背景として、(1)決議ではなく、委員会レベルの声明である
(2)実態として日米安保体制と、日本が「核の傘」の下にある現状、
米国の核戦略に影響がない(3)米国は日本に原爆を投下した当事者であり、
「核廃絶」を目指す日本の立場は理解できる-ことなどがあるとみられる。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/131026/amr13102618520011-n1.htm