★反日・反独映画の虚妄――なぜ『アンブロークン』の日本上映を望むのか?
- 丸谷元人(ジャーナリスト)〔1〕
・夫婦でつくる「戦時プロパガンダ映画」
「映画は大衆を教育するためのもっとも有力な道具の1つである」
といったのはかのレーニンであるが、戦後70年ものあいだ、
旧連合国においてつくられた日本やドイツを悪者として描いた映画は世に溢れている。
正義の味方の主人公(そのほとんどがアメリカ白人)が冷酷な「ナチ」を殺し、
悪辣な「ジャップ」を成敗するというお決まりの筋書きはこれまで世界中に発信され、
多くの人の頭に「日独=悪」というイメージを刷り込んできた。
そんなわかりやすい勧善懲悪モノは、
人間以下の悪い奴らを心ゆくまで退治できるということもあり
「安心して」観ていられる。いわば『水戸黄門』のようなものであるが、
才能の枯渇に悩む脚本家や、ネタ切れ気味の映画業界、
そして人気低迷を案じる往年のスターらにとっては貴重な飯のタネだ。
続く