「震災による死」に人々はどう向き合い、感じてきたか。
この春に卒業する東北学院大の社会学のゼミ生たちが
フィールドワークを重ねて、卒論を書いた。
工藤優花(ゆか)さん(22)は、宮城県石巻市のタクシー運転手たちが体験した
「幽霊現象」をテーマに選んだ。
50代の運転手は工藤さんに、こう打ち明けた。
震災後の初夏。季節外れのコート姿の女性が、石巻駅近くで乗り込み「南浜まで」と告げた。
「あそこはほとんど更地ですが構いませんか」と尋ねると、
「私は死んだのですか」と震える声で答えた。
驚いて後部座席に目を向けると、誰も座っていなかった。
続きます