ソース(アゴラ、站谷 幸一氏)
http://agora-web.jp/archives/1575107.html
安倍首相の靖国参拝は本人、その側近及び信者には驚くべき、
世界の人間からは当たり前の反応をもたらした。
その中でも、米国からの一撃はかなり衝撃的だった。
この「disappoint」という米政府の言葉、実は外交用語としてはかなり重いのだ。
この言葉は、最近ではオバマ大統領がスノ―デンを匿うことを決断したロシアに、
ネタニヤフ首相がテロ攻撃を放置するアッバス議長に使っている言葉であり、
外交儀礼上はかなり上位の警告とされている。少なくとも、上記でみたように
仮想敵国一歩手前の国家に使う言葉であって、同盟国に対して使う言葉ではない。
なぜ、日米同盟という世界でも類を見ない
同盟関係でこんな言葉が使われてしまったのだろうか。
それは、米国から見れば安倍首相が鳩山氏と同じだからである。ありていに申せば、
安倍首相は、左翼ではなく、右翼のルーピーなのである。
なぜ、親米派のはずの安倍首相は、鳩山氏と同列なのか。
それは、今年の6月、日本の米国専門家に衝撃を与えた、
知日派の研究者、ウィリアム・グライムスが執筆した
「安倍首相は米国に出入り禁止となる」というWEB論考にヒントがある。
(天木直人が東洋経済に転載された抄訳を紹介しているが、
ここでは彼が見落としている部分も含めて紹介する)
このグライムス、リベラルな研究者が多いボストン大学の国際関係部長であり、
しかも大蔵省財政金融研究所、日本銀行金融研究所にも所属したことがある。
つまり、オバマ政権の見解に近く、それもかなり
日本の事情に通じている生粋の知日派なのである。
彼の主張をまとめて補足すると以下のようになる。
(中略)
1.安倍政権の政策は米国にとって素晴らしい
2.しかし、安倍首相個人は問題だ
3.安倍首相の無神経な言動は米国の公式的見解からして弁護不能
4.その為、安倍首相の行動は周辺諸国との衝突と相まって、
米国のアジア政策における影響力を低下させる障害でしかない
5.このままいくと米国は鳩山由紀夫と同じような処分を下すことになる
では、現実の安倍首相の行動はどうか。
これまで、国務省と国防総省が珍しく一体となって警告(注1)する等、
度々注意してきたにもかかわらず、米中韓に当てつけるかのように靖国神社を参拝し、
当人は「不戦の誓い」等とまったく悪びていない。
まさしく、グライムスが指摘するように、
米国にとって無神経極まりなく、アジア政策の障害である。
しかも、安倍首相一派は気付いていないが、この英語で
「靖国行ったけど喧嘩売ってないよ」と声明文を出す「無神経際さ」が
オバマを苛立たせるのである。加えて、安倍首相周辺が常々語る、
「オバマ政権はレイムダックだから何もできない(だから今参拝するべき)」
という見解はより怒りを倍加させる。
私は皆さんに聞きたい。この独善性、米国から見れば鳩山由紀夫とどこが違うのか。
右翼か左翼かだけで同じではないか。
しかも、安倍首相の側近たちは、各種新聞の報道等によれば、
最初は「所詮は、大使館声明に過ぎない」といい
(普段、大使館のパーティーに嬉々として参加し、大使との関係を自慢するのに)、
国務省が声明を出せば、国防総省は違うといい
(国防総省は靖国やADIZで日本を見捨てている)、
国防総省が防衛大臣会談を断れば、ヘーゲルが忙しいだけという
(彼らは女性に「忙しいから」と振られたら、それを真に受ける純朴なタイプなんだと思う。)。
まさに彼らも安倍首相と同じ独善性を抱えている。